ウイテンペンは世の習い

業界の片隅にいるインフラエンジニア、思ったことをつらつらと

カート・ヴォネガット著「スローターハウス5」

 

読んだので書く

※文中で触れる作品はネタバレあり

 

バーナード嬢曰く。」で元々とりあげられており、アニメ化したと聞いたので(遅)

読んだ。

 

バーナード嬢曰く。: 1 (REXコミックス)
 

 

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施川ユウキ著「バーナード嬢曰く。一迅社 2013年 p43

この少ししか触れていないが文中のセリフが強烈に印象に残った。

 

■あらすじ

ビリー・ピルグリムは飛行機事故を契機として、自らの過去・現在・未来が入り乱れて、交錯するようになる。

あるときは、第二次世界大戦中のドレスデンでの爆撃の中で、

またあるときは精神病院のベットの上

またまたあるときは、宇宙人に攫われ銀河に旅立ったとき

結婚初夜や戦友の死

そして自らの死まで

ビリーの人生が無造作に駆け巡っていく。

 

もともと、 作者のドイツへのドレスデン空襲の体験を元に書いた小説

それを作者のカート・ヴァネガットらしいSFになっている。

 

「らしい」というのは、カート・ヴァネガットの別の作品を僕は前に読んだことがある。「タイタンの幼女」だ。

 

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

 

 こちらも、事故により過去・現在・未来等の感覚がなくなり、

人間性が乏しくなり神のような存在になってしまった男の物語。

もともと、爆笑問題の大田と糸井重里の対談で知った

参考:ほぼ日刊イトイ新聞 -本読む馬鹿が、私は好きよ。

 

上記のURLを見るとMOTHER2は「タイタンの妖女」に強い影響を受け創作されたとある。

この小説は、ぼくも、ものすごく好きなんですよ。
ほんとうにおもしろいです。
注意深く読んだら、『MOTHER2』に影響を与えている
部分も発見できると思います。 

本を読む馬鹿が、好きよ」ほぼ日刊イトイ新聞 2007年 http://www.1101.com/yomu/

 ※引用文中の「ぼく」は糸井重里

MOTHER2は友情の物語。主人公は仲間と友情を育み冒険していく。

例え機械になったとしても、友情、人間のこころを見失わない。

傍若無人のポーキーとさえ、どこか友情を忘れていない。

タイタンの妖女」も友情の小説、主人公の「マラカイ・コンスタント」はその人生の終わりに親友の幻影をみる。

神のようになってしまった人間「ラムフォード」と宇宙人の作り出したロボット「サロ」。「ラムフォード」の人間としての終わりに、ロボットであるはずの「サロ」はこころを得たように取り乱す。

 

スローターハウス5」は友情の物語ではないが、主人公の「ビリー」の人生が本人がまるで映画でも観ているように、淡々と流れていく。

「死」すらもうわかりきっているもののように、淡々と。

この作品の伝えたいことは「バーナード嬢曰く。」でも取り上げてたがこれにつきる。

「人生について知るべきことは、すべてフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフ兄弟』にある、と彼はこういうのだった。そしてこう付け加えた。「だけどもう、それだけじゃ足りないんだ」

カート・ヴァネガット・ジュニア著 伊藤典夫訳「スローターハウス5早川書房 1978年 p137

どうしようもない人間が時にいいことをする、人を見捨てられない人間がその人の死のきっかけを作ってしまう。

人生は本や映画では「それだけじゃ足りない」ものを体験していく。

そういったことを伝えたかったのかもしれない。